危ないアウトドア 1 [危険な生き物]

ある土曜山行中の会話:
私:最近、ニュージーランドの登山を日本の人たちに紹介するブログを始めたの。
Kさん:ふーん。
私:NZでは、みんな短パンで登山するということについての記事を書いたの。
Kさん:へぇ、日本では、山で短パンは履かないの?
私:そうね。一時帰国のときに、よく山へ行くけど、短パンだと、ちょっと白い目で見られたりする。...それに、考えてみると、日本は虫が多いし、短パンで藪こぎはきついかも。前に、峡谷美と温泉で有名なところ(黒部峡谷)へ連れて行ってもらったことがあるけど、夏で暑かったから、短パンで出ようとしたら、今日行くところは、毒蛇が出るし、ササダニもいるから、頼むから短パンは止めてくれ、って言われて、しぶしぶ雨具のズボンを履いていったの。そうしたら...。



Kさん:ええ?
私:半日のうちに、毒蛇(マムシ)が二匹も。日当たりの良い岩の上で昼寝してて、近づいても、なかなか逃げないし、よく見てなかったら、噛まれても不思議じゃなかったと思う。
Kさん:怖いのね。ニュージーランドは、その点、毒蛇は居ないし。危険な生き物といったら、アシナガバチ(wasp)と、毒性の木性イラクサ(tree nettle)くらいなものかな。
私:そうね。それに比べて、日本には、何種類か毒蛇は居るし、ササダニとかも怖いし。オーストラリアみたいに毒グモはいないけど...。
Kさん:さそりは?
私:サソリはいないけど、でっかいスズメバチ(hornet)がいる。木のほらに巣を作る奴はとても凶暴だし、地面に巣を作る奴は、うっかり巣を踏みつけたりすると、集団で襲ってくるらしいから、藪こぎは怖いね。
Kさん:それは怖いわね。
私:それから、山には熊がいるから気をつけないと。
Kさん:日本に熊がいるの?
私:2種類いるよ。東京の近辺でも、熊が出ることがあるらしいし、最北端の島(北海道)には、グリズリーの小型版みたいな、気性が荒いのがいる。
Kさん:へぇ...。
私:小型のカウベルみたいなのを熊よけに鳴らしながら歩いたりするの。でも、やっぱり怖いのは、北海道ので、昔は人が襲われて、喰われたりしたことがあったみたい。
Kさん: ...。
私: 今でも、熊の被害は、時々ニュースに出るわね。
Kさん: 日本って何だか、とても危険なところみたいね。

 日本のアウトドアについて、Kさんには、悪い印象を持たせてしまったようだ。前置きがとても長くなったが、確かに、日本に比べて、NZは、危険な生物が少ないところだ。お隣のオーストラリアは、毒蛇、毒蜘蛛、サソリと、多々揃っているようだが、NZは、この会話に出てくるように、waspと、tree nettleに気をつけさえすれば、藪こぎも大丈夫だ。
 だが、この tree nettle という奴は、要注意だ。イラクサは、イラクサなのだが、日本でも見られる一般的な北半球のイラクサ種が、蕁麻疹は起こしても、基本的には深刻な害がないのに比べ、tree nettleは、実に危険な有毒植物なのだ。登山者、ハンターなど実際に山に入る人たちには良く知られていることなのだが、アウトドアに縁がないと、医者でもこの植物の本当の害を知らないことがある。
 小さいときは、日本のミヤマイラクサのように見えるが、膝くらいまで育ったものは、ちょっとでも触れると、蜂にでも刺されたような、電撃的な痛みが走る。日本のイラクサと違い、草ではなく潅木で、株分けで増えていくのか、大きな藪になったのが、藪こぎルートに立ちふさがれると、本当に怖い。経験から言うと、大きく育ったののほうが、毒性が強いように感じられる。長い「毒針」は、軍手くらいでは防げない。雨具とオーバー手袋で、重装備だ。こちらに写真があるが、見るからに凶暴そうだ。

 学名はUrtica ferox、先住民のマオリは、ongaongaと呼ぶ。たくさん刺されると、牛を殺すほどの毒性があるとか、これの藪の真ん中を強行突破しようとした登山者が急性アレルギーで死んだとか、まことしやかな逸話を聞く。事実かどうかはわからないが、山岳会のベテランたちの話や、私自身の経験からも、おおいに肯けるところはある。
 自生地域は広いが、特にNZ南島西側地域(West Coast:特に毒性が強いという話だ)、クライストチャーチ周辺(特にバンクス半島)と、ウェリントン周辺(特にリムタカ山塊)に多く見られる。短期の観光旅行でこれに出くわすチャンスはあまりないと思うが、留学やワーホリなどである程度長期滞在する人は、ハイキングなどに行くときは気をつけたほうが良い。(私も最初の遭遇は、留学中のバンクス半島でのハイキングだった)
 お互いに、アウトドアでは、気をつけましょう。

この記事は、ulgoodsさんのAdventure Medical Kits UltraLight.5に発想を頂いて書きました。

(12月13日再編集)
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by mimi_s_mum | 2005-10-17 15:28 | 中つ国山民俗学




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