2月最後の週末。朝、早立ちで、正月山行のときにも行った松並木登山口(Pines Roadend)へ向かう。8時前には歩き出すことが出来た。残りのパーティーは、1時間遅れて出発するはずだ。パーティーのルートは、松並木登山口からワインガワ峡谷(Waingawa Gorge)を高巻いて上流に向かう登山道をたどって、司教帽が原(Mitre Flats)への橋を渡り、そこから峡谷そのものを下る、というものだ。このバラ道(Barra Track)と呼ばれる一般登山道は、小さな上り下りが多く、中々はかどらない厄介な登山道なので、今回、私は右手の小ピーク・ブレイク(Blake)に藪漕ぎで上がり、そこから左に曲がって支尾根を下り、登山道に終点近くで合流してしまおう、とたくらんだわけだ。合流時間は午後1時。間に合うだろうか。 まず登山道を1時間10分ほど歩いて、ブレイクへの支尾根の麓に着く。のどを潤し、地図を確認して9時10分登り開始。この支尾根は急なところもあるが、登りに使う分には問題ない。850mの丸っこいコブで一たん方向を変え、本物のブレイクへの尾根筋にのる。木の根が高く張り、その間に苔が生えていて、うっかりすると落とし穴のようにはまってしまう所があるので、要注意だ。11時にブレイクに到着。ちょっと休み、地図を出して位置とこれからの進路を確認する。15分休んで出発。 ここから稜線沿いに200mほど進み、傾斜がきつくなったところの少し手前で西に折れると、うまく目的の下りルートの乗るはずだ。歩数を数えながらゆっくり進む(30歩で10mという見積もり)。180mほど進んだところで傾斜が変わってきた。念のためもう少し進んで、傾斜が確かにきつくなったのを確かめてから、引き返し、傾斜変化の地点で方向転換。斜面は急で、広く特徴もないが、ゆっくり気をつけながら下っていくと、右手にはっきりした支尾根が発達してきた。地図を片手に地形変化を確認しながらこの支尾根をたどっていく。途中で北に支支尾根が分かれ、これに乗るとほんの少しだけ橋に近いところに出られるはずだが、これを見つけるのがちょっと難しかったので、あっさり諦めてメインの支尾根に戻る。この支尾根は難しいところは全くなく、快適な下り藪こぎルートで、12時30分には、下りきって登山道に出られた。12時45分に橋に到着。 パーティーの皆さんは、河原で日向ぼっこしている。聞くと、牧場主と知り合いのメンバーがいて、牧場の途中まで車で乗り入れできたので、行程が30分ほど短縮され、早めについてしまって、もう1時間近く待っているそうだ。すばやく昼食のサンドイッチを詰め込み、登山靴を日本から買っていった渓流シューズに履き替える。登山靴のまま水にズカズカ踏み込むのが普通というのが、NZトランピングの伝統だが、今回は峡谷での行動時間が長く、短足の私がゴム底の登山靴では、濡れた飛び石にツルツルすべりまくって遅れたり転んだりなのは分りきっていたので、渓流シューズを使用することにした。 まず岸に沿って岩から岩へ乗り移ったり、浅瀬をジャブジャブ歩いたりして進む。川が曲がっているところで、膝から太ももくらいのところを渡渉して、歩きやすい側を選んで下っていく。夏の陽がじりじりと照りつけ明るい河原は暑く、水も温かい。少し行くと左岸にきれいな深みがあり、ここで皆ザックを下ろす。水慣れしたメンバーが数人服のまま、(一人はザックも背負ったまま)飛び込み、水をはね散らして気持ちよさそう。私も誘われて、背が立つところまで水に入る。最初だけ水の冷たさがちょっとショックだ。でも気温も水温も高めで、全身が濡れてちょうど良いくらいだ。 ここからあとも、気持ち良い渓谷歩きが続く。右岸左岸とも急に切り立ち、迫っている峡谷なのだが、そこにある程度幅があり、水深が深くないので、河原歩き、岩伝い移動、飛び石、膝上までの渡渉で、ほとんどの所は通れてしまう。 ちょっと切り立った所のへつりが2~3箇所、胸までの渡渉が2~3箇所、深い淵の縁を辿るが背が立たなくなるところが2箇所。水慣れしたメンバーはザックを背負ったまま平泳ぎで渡ってしまうが、私を含めて泳ぎが苦手なメンバーは、Pack Floating というテクニックを使ったり、杖を差し伸べてもらって助けてもらったりして、難所を通過。 要所要所で日向ぼっこを兼ねた休憩を入れ、身体が冷え切ってしまわないようにする。岩の上に身体を伸ばして、濡れトカゲを決め込む、お菓子を食べてエネルギー補給をする、ビニール袋からカメラを出して、渓谷美を捕らえようとする、と皆それぞれに楽しんでいる。唯一の難点は、ブヨ(sandfly)で、なぜか私にばかり寄って来て、あっという間に10箇所以上刺されてしまった。 少し谷が開けてきたような気がする。ひときわ大きな淵を通過すると、前方上方に、牧場の丘が見える。さらに2~300mも進み、川が左に曲がるところを通過すると、牧場地の縁が見えてきた。楽しかった渓谷下りもここで終わりだ。皆ザックを降ろし、深みで最後の泳ぎを楽しむ。私も背が立つところで一泳ぎした後、渓流シューズを登山靴に履き替えるが、あとは、パーティーが今朝車を置いた牧場主の家まで、牧場の農道を10分ほど歩くだけだ。7人のメンバーが、5人乗りのステーションワゴンに乗り込み、ゆっくりとゲートに向かう。夕陽が車に差し込み、素晴らしい夏の一日も、終わりに近い。この夏の最後の週末は、良い天気、良い仲間、良いリーダーに恵まれ、記憶に残る素晴らしい山行を楽しんだ。
by mimi_s_mum
| 2006-03-16 07:38
| 山行報告
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Created by mimi_s_mum
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